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2010年6月27日 (日)

第4章 猫語と対話 (1/2) (2006.7.25記事)

猫とボクの奇妙な生活が始まった。
朝早くから、
『ミャーオ、ミャーオ』
と鳴く。甘えた声ではない。
『腹へった、飯くわせー。』
といったような命令調の催促である。
(居候、3杯目を そっと出し)という句があるが、淑女どころか世慣れた渡世人である。
眠気がドロンとした頭をガシガシ掻きながら起きていって、猫皿にジャラジャラとキャットフードをいれてやる。
(だれが、しばらくは穴倉からでて来ないって?)
猫にとって居心地は満更でもなさそうである。 
好きな所でうたた寝をし、家主は無駄話をしてこないし、邪険なこともしない。3度の食事と新鮮な水といつも清潔なトイレを馳走してくれる。
3ツ星(☆☆☆)のつくホテルくらいの待遇であると思っているだろう。
猫の世話は思っていた以上に簡単であり、猫の生活は単純である。
それに比べれば人間の生活は、面倒だと我ながらつくづく思う。
ボクも今度生まれ変わるときは、黒猫にしてもらおう。
何かの本で読んだことがある。
ー不精者が死んで、地獄の閻魔様のお裁きを受けているところである。
閻魔様 『輪廻じゃ、によって、今度生まれ変わるときは、何がよいか?申して
みよ。』 
不精者 『鼻の先だけがチョンと白い、からだ全体が真っ黒の猫にしてくださ
りませ。』
閻魔様 『なに故じゃ?申してみよ。』
不精者 『暗がりでただ寝ておれば、ネズミが米粒と間違えてきたら、捕まえまする。』
人間は、日常の煩雑な事に煩わせられながら、悶々として生きている。
ボクもまた、微々たる才能にしがみついて絵を描いている。
筆をとめて窓の外を眺めると猫の目のような細い上弦の月が、青い天空の雲間に浮かんでいる。
猫のうたた寝を横目に見ながら一句、読んだ。
(なにをくよくよ浮世の流れ、雲のまにまに月がある。)
そんな風に、生きていけないものかな? ボクも。

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