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2010年6月27日 (日)

第5章 猫のお面をかぶった猫 1/2 (2006.8.1記事)

たいていの人間が遊びたいために働き、楽したいために一生懸命に汗を流 す。
猫を眺めていると、その点が釈然としない。
オゴゼは、1日の大半をうたた寝をして過ごしている。
ボクには、猫の哲学も倫理観も価値観もわからない。
たまには、遊ぶとか、あるいは何かに熱中して成就したいとかいう願望はないのだろうか。
犬にだって、(-歩けば、棒にあたる。)ーくらいの行動をする。
そんなことを考えていた矢先である。
いま日当たりのいい窓辺でのんびり昼寝している彼女からは、想像できない昨夜の猫騒動であった。
そして、それはボクのゲンコツのお目玉を食って収まったのである。

ボクの小学3年の時の記憶が蘇る。
田舎に、窓口がたった2つしかない郵便局があった。
窓口の局員はいつも独りで、用件に応じて格子のはまった窓口に移動するのである。
その前の狭い空間に、赤いビロード布地の張られた洋風のソファーが、それまでの木製の長椅子に代わって据えられた。
ボクがどういう経緯で、それを知ったか覚えていないが、そんな事さえ話題になった田舎であったからだろう。
顔見知りのお兄ちゃんの局員が、窓口にすわっていた。
『座ってみても、よかね?』
ボクは、ていねいに許可をえる。
トンと座ってみるとらせん状のスプリングがいくつも敷き詰めてあって、まるでサー カスのトランポリンみたいな跳ね具合である。
『どがんね。気持ちンよかろ。』
お兄ちゃんは、自慢気に笑う。
『ウン、スゴカね。』
ボク自身が誉められたような気分になって、何度も跳ねてみる。
『もう、よか、よか。壊れるけんやめろ。』
穏やかに注意されるが、楽しくて愉快でやめられない。
『コラー! ヤメロというとろうが。』
青筋たてて、怒リ出した。   1/2

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