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2010年6月27日 (日)

第3章 猫の内申書ー2/2 (2006.7.21記事)

猫の名前は、コゼット。
(オスなのですか、メスなのですか。)という唯一のボクの質問に、(女性ですよ。)
とわざわざ訂正して教えてくれた。
これもまた、ボクにとってまったく蛇足な情報なのだが、この猫は非常に内気で、非常に繊細で、非常にプライドが高く、そのうえ非常に頭が良いそうである。
猫が優秀であるということの基準を何で決めるのか、ボクにはわからない。
コンテストで賞をもらうとか、塀の上の歩き方がうまいとか、ネズミの捕獲率が高いとか、鳴き声が音楽的であるとかを想像してしまう。
ともあれ、ボク自身はこれまで(非常に)という言葉を付けて誉められたことが、1度も無い。
人間であれば、ボクより数等上等な部類になるだろう。
しかし、そこは人間と猫、比較してひがんでもはじまらない。ただ、猫といえども(女性です。)と言われれば、意識してしう。
例えばーシャワーのあと素っ裸で部屋の中を歩き回ることは、紳士として控えねばなるまい。
まさか、(ワタシ今からお化粧するから、ちょっと席をはずしてくれない?)と部屋を追い出せれることはあるまいか?
知人は、5分いや3分もかからない簡単かつ明確な説明を終えると、コーヒーも飲まずに風の如く帰っていった。
『しばらくは窮屈だろうが、うまくやろう。』
と後ろを振り向けば、猫もまた風の如く消えていた。
洗濯用の竹篭をベッドと決めたらしく、家主のボクにニャンの挨拶もなく暗がりの中にもぐりこんでしまっていた。
(しばらくは隠れて出てこないかもしれないけど、気にしないでネ。)ということであるから、あえてボクのほうから猫なで声で親睦をはかろうとは思わない。
夜、仕事が一段落して独りウイスキーを飲んでいると、猫も穴倉から出てきて食事をはじめた。
目と目があった。カチッと火打ち石を打ったような火花が見えた。ドキッとした。
子猫の頃の面影はちっとも残ってなくて、野性的な鋭い眼光をした美形である。
青春のホロ苦い経験が蘇ってきた。
美しい女性に想像理想空想たくましく恋をして、ある日勇気を出してデイトを申し込んだことがある。
『ワタシ、面食いなの。』
絶妙の間、正確無比、言いえて妙であった。
以来、(苦手だな。) この手のタイプ。 
 (猫の内申書ー完)

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