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2010年6月27日 (日)

第3章 猫の内申書ー1/2 (2006.7.18記事)

次の日の朝、知人の女性は楽しそうに微笑みながらやってきた。
『イデちゃん。ありがとう。助かるわ。』
『・ ・ ・ ・ ・ 』
何と答えたらいいのだろう。
彼女の感謝の言葉に、素直に反応できない。
猫好きな彼女には事情があるとはいえ、得体の知れぬ人間に自分を預ける事 に(自虐の念)を感じないのかと、猫の立場になってひがんでみる。
浮かぬボクの表情に、慣れぬことへの不安と戸惑いと緊張と思っているらしい。
『大丈夫よ。簡単よ、猫の世話なんて。ほらね、これが通常のゴハンで、これが肉 の缶詰でしょ。そして、これが魚の缶詰。この子が、飽きないように適度にあげてね。』
まるで、小学生を指導する先生である。
『これが、トイレ。そしてトイレの砂。朝晩2度変えね。清潔好きだから。』
まだ、まだ、これがシャワー用の石鹸でこれがシャンプーなのよと、出てくるのではな いかと心配になってきた。
大きな所帯道具と食料の入った袋をながめながら(簡単なものか!)と内心思う。
その間、猫はーモンローウォークというのかなーシッポを振りながら気取った態度で、部屋中を隈なく点検してあるいている。ときどき臭いを嗅ぎ、ときどき手で埃の有無をチェックしている。
『ちょっと、ズボラな管理で、ワタシにふさわしくない家だね!』
ってな不満顔で、飼い主を見上げている。
(生意気だぞ。テメー!)    (1/2)

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